UE5で敵AIを作成する方法とビヘイビアツリーの活用

UE5で敵AIを作成する方法

UE5で敵AIを作成する方法とビヘイビアツリーの活用
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AIシステムの基本

UE5のAIシステム概要と基本設定について解説

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ビヘイビアツリーの活用

敵AIの行動設計にビヘイビアツリーを効果的に使用する方法

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高度なAI機能

AIパーセプションとEQSを使った複雑な敵AI行動の実装

 

UE5のAIシステム概要と基本設定

Unreal Engine 5(UE5)のAIシステムは、ゲーム開発者に強力なツールセットを提供し、リアルで知的な敵キャラクターを作成することができます。UE5のAIシステムの中核となるのは、以下の要素です:

 

・AIコントローラー
・ビヘイビアツリー
・ブラックボード
・AIパーセプション
・Environment Query System(EQS)

 

これらの要素を組み合わせることで、複雑な敵AIの行動を設計・実装することが可能になります。

 

AIシステムの基本設定を行うには、まず新しいAIコントローラーを作成する必要があります。これは以下の手順で行います:

  1. コンテンツブラウザで右クリック
  2. [ブループリントクラス] を選択
  3. [All Classes] から [AIController] を検索して選択
  4. 新しいAIコントローラーに適切な名前を付ける(例:AIC_Enemy)

 

AIコントローラーを作成したら、敵キャラクターのブループリントを開き、[Details] パネルの [AI Controller Class] で作成したAIコントローラーを指定します。

 

UE5のAIコントローラーについての詳細な解説はこちら

 

UE5でのナビメッシュとAIコントローラーの設定

敵AIがゲーム世界を正しく移動するためには、ナビメッシュの設定が不可欠です。ナビメッシュは、AIキャラクターが移動可能な領域を定義するものです。

 

ナビメッシュの設定手順:

  1. レベルに [Nav Mesh Bounds Volume] を配置
  2. ボリュームをレベル全体をカバーするようにスケーリング
  3. [Play] ボタンを押してゲームを開始し、[P] キーを押してナビメッシュを可視化

 

AIコントローラーの設定では、以下の点に注意が必要です:

 

・[Use Controller Rotation Yaw] をオンにして、AIが正しく回転できるようにする
・[Character Movement] コンポーネントの [Orient Rotation to Movement] をオンにして、AIの向きが移動方向に合わせて自動的に調整されるようにする

 

これらの設定により、AIキャラクターがスムーズに移動し、環境に適切に反応できるようになります。

 

UE5のナビゲーションシステムについての詳細はこちら

 

UE5のビヘイビアツリーを使った敵AI設計

ビヘイビアツリーは、AIの意思決定プロセスを視覚的に設計するためのツールです。UE5では、ビヘイビアツリーを使って複雑な敵AIの行動パターンを効率的に実装することができます。

 

ビヘイビアツリーの基本的な構成要素:

 

・Sequence:順番に実行するタスクをグループ化
・Selector:条件に応じて異なるタスクを選択
・Decorator:タスクの実行条件を定義
・Service:定期的に実行される処理を定義

 

敵AIの基本的な行動パターンを実装する例:

  1. ルートノードにSelectorを配置
  2. Selectorの下に「プレイヤー追跡」と「巡回」のSequenceを配置
  3. 「プレイヤー追跡」Sequenceに以下のタスクを追加:

    • プレイヤーの位置を取得
    • プレイヤーの方向に回転
    • プレイヤーに向かって移動

  4. 「巡回」Sequenceに以下のタスクを追加:

    • 次の巡回ポイントを選択
    • 巡回ポイントに向かって移動
    • 待機(一定時間)

 

このような構造により、敵AIはプレイヤーを発見したら追跡し、そうでない場合は定められたルートを巡回するという基本的な行動を実現できます。

 

UE5のビヘイビアツリーについての詳細な解説はこちら

 

UE5でのAIパーセプションシステムの活用

AIパーセプションシステムは、AIキャラクターに「感覚」を与えるための機能です。これにより、敵AIがプレイヤーを視覚や聴覚で検知し、それに応じた行動を取ることが可能になります。

 

AIパーセプションの設定手順:

  1. AIコントローラーに [AI Perception] コンポーネントを追加
  2. [AI Perception] コンポーネントの設定で、使用する感覚(Sight、Hearing等)を追加
  3. 各感覚の詳細設定(視野角、検知距離等)を調整

 

AIパーセプションを活用した高度な敵AI行動の例:

 

・プレイヤーが視界に入ったら追跡を開始
・銃声を聞いたら音源の方向を調査
・プレイヤーを見失ったら最後に見た位置を記憶し、そこまで移動

 

これらの機能を実装するには、ビヘイビアツリーとAIパーセプションを連携させる必要があります。例えば、AIパーセプションのイベントをブラックボードの値に反映させ、その値に基づいてビヘイビアツリーの分岐を制御するといった方法が考えられます。

 

UE5のAIパーセプションシステムについての詳細はこちら

 

UE5のEQSを使った高度な敵AI行動の実装

Environment Query System(EQS)は、AIキャラクターが環境を分析し、最適な行動や位置を決定するためのシステムです。EQSを使用することで、より知的で状況に応じた敵AIの行動を実装することができます。

 

EQSの基本的な使用方法:

  1. EQSクエリを作成(コンテンツブラウザで右クリック → [AI] → [Environment Query])
  2. クエリにジェネレーター(点の生成方法)を追加
  3. テスト(条件)を追加して、生成された点を評価
  4. ビヘイビアツリーから [Run EQS Query] タスクを使用してクエリを実行

 

EQSを活用した高度な敵AI行動の例:

 

・カバーポイントの選択:
敵AIが戦闘時に最適なカバー位置を選択する
・攻撃位置の決定:
プレイヤーに対して最も有利な攻撃位置を見つける
・逃走経路の計算:
HPが低下した際に、プレイヤーから遠ざかりつつ回復アイテムに近い経路を選択

 

EQSの強力な点は、複数の条件を組み合わせて評価できることです。例えば、「プレイヤーからの距離」「視界の良さ」「カバーの有無」といった複数の要素を考慮して、総合的に最適な位置を決定することができます。

 

UE5のEnvironment Query Systemについての詳細な解説はこちら

 

以上の要素を組み合わせることで、UE5で高度な敵AIを作成することができます。ただし、AIの設計は複雑な作業であり、ゲームの要件や目指す体験に応じて適切にカスタマイズする必要があります。また、パフォーマンスにも注意を払い、必要以上に複雑なAIロジックを実装しないよう注意が必要です。

 

最後に、AIの開発においては継続的なテストと調整が重要です。プレイヤーにとって適度な難易度と予測不可能性を持ちつつ、フラストレーションを感じさせないバランスの取れたAIを目指すことが、良質なゲーム体験につながります。

UE5で敵AIを作成する方法とビヘイビアツリーの活用について解説します。AIコントローラーやナビメッシュの設定、ビヘイビアツリーの構築など、実装の流れを紹介します。あなたも魅力的な敵AIを作ってみませんか?