Unityの物理演算エンジンは、ゲーム内のオブジェクトに現実世界の物理法則を適用するための強力なツールです。主に以下の2種類があります:
• 3D物理演算エンジン:NVIDIA PhysXを採用
• 2D物理演算エンジン:Box2Dを採用
これらのエンジンにより、開発者は複雑な物理計算を簡単に実装できます。例えば、重力、摩擦、衝突などの現象を簡単にシミュレートできます。
物理演算エンジンの主な特徴:
1. リアルタイム計算:フレームごとに物理状態を更新
2. 高度な衝突検出:複雑な形状のオブジェクト間の衝突も正確に検出
3. パフォーマンス最適化:効率的なアルゴリズムにより、多数のオブジェクトも処理可能
4. カスタマイズ性:各種パラメータを調整して、望む物理挙動を実現
リジッドボディ(Rigidbody)は、Unity物理演算の中心的な要素です。これをゲームオブジェクトに追加することで、そのオブジェクトに物理特性を持たせることができます。
リジッドボディの追加手順:
1. Hierarchyウィンドウで対象のゲームオブジェクトを選択
2. Inspectorウィンドウの下部にある「Add Component」ボタンをクリック
3. 検索欄に「Rigidbody」と入力
4. 表示された「Rigidbody」(3Dの場合)または「Rigidbody 2D」(2Dの場合)を選択
リジッドボディの主要なプロパティ:
• Mass:オブジェクトの質量
• Drag:空気抵抗(3Dのみ)
• Angular Drag:回転に対する抵抗(3Dのみ)
• Use Gravity:重力の影響を受けるかどうか
• Is Kinematic:物理演算の影響を受けずに動くかどうか
意外な情報として、Is Kinematicをオンにすると、オブジェクトは物理演算の影響を受けなくなりますが、他のリジッドボディとの衝突は検出します。これは、動く床や障害物などの実装に便利です。
リジッドボディの詳細な設定方法については、以下のリンクが参考になります。
Unityマニュアル:Rigidbodyコンポーネントの詳細設定
Unity物理演算における重力と衝突の設定は、ゲームの物理挙動を決定する重要な要素です。
重力の設定:
1. Edit > Project Settings > Physicsを選択
2. Gravityの値を調整(デフォルトは(0, -9.81, 0)で地球の重力に近似)
衝突の設定:
1. 衝突を検出したいオブジェクトにColliderコンポーネントを追加
2. Colliderの形状(Box、Sphere、Capsuleなど)を選択
3. 必要に応じてColliderのサイズを調整
衝突検出の最適化テクニック:
• レイヤーベースの衝突マトリックスを使用して、不要な衝突チェックを省略
• 複雑な形状のオブジェクトには、複数の単純なColliderを組み合わせて使用
• 静的なオブジェクトにはStatic Colliderを使用し、パフォーマンスを向上
意外な情報として、Unity 2018.3以降では、物理演算の更新頻度をFixed Timestepとは別に設定できる「Physics.simulationMode」が導入されました。これにより、物理演算の精度とパフォーマンスのバランスを細かく調整できます。
重力と衝突の詳細な設定方法については、以下のリンクが役立ちます。
Unity物理演算を活用した簡単なゲーム作成例として、「ボールころがし」ゲームを紹介します。
ゲームの基本構成:
1. プレイヤーが操作するボール(Sphere)
2. ボールが転がるステージ(Plane)
3. 障害物(Cube)
4. ゴール地点(空のGameObject)
実装手順:
1. ボールにRigidbodyとSphere Colliderを追加
2. ステージにBox Colliderを追加(Is Triggerをオフに)
3. 障害物にBox Colliderを追加
4. ボールの動きを制御するスクリプトを作成
ボール制御スクリプトの例:
csharp
using UnityEngine
public class BallController : MonoBehaviour
{
public float speed = 10f
private Rigidbody rb
void Start()
{
rb = GetComponent}
void FixedUpdate()
{
float moveHorizontal = Input.GetAxis("Horizontal")
float moveVertical = Input.GetAxis("Vertical")
Vector3 movement = new Vector3(moveHorizontal, 0.0f, moveVertical)
rb.AddForce(movement * speed)
}
}
このスクリプトをボールにアタッチすることで、キーボードやゲームパッドでボールを操作できるようになります。
物理演算を使ったゲーム作成のポイント:
• AddForce()を使用して、自然な加速と減速を実現
• FixedUpdate()内で物理演算関連の処理を行い、一定間隔での更新を保証
• 衝突時の挙動はOnCollisionEnter()などのイベント関数で制御
意外な情報として、Unity 2019.3以降では、DOTS(Data-Oriented Technology Stack)を使用した新しい物理エンジンが導入されました。これにより、大規模な物理シミュレーションのパフォーマンスが大幅に向上しています。
物理演算を使ったゲーム開発の詳細なチュートリアルは、以下のリンクで確認できます。
Unity物理演算を効率的に使用するためには、パフォーマンス最適化が重要です。以下に、主要な最適化テクニックを紹介します。
1. コライダーの簡素化
• 複雑な形状のオブジェクトには、複数の単純なコライダーを組み合わせて使用
• メッシュコライダーの使用は最小限に抑える
2. 物理演算の更新頻度の調整
• Project Settings > Time > Fixed Timestepの値を調整
• モバイルゲームでは、値を大きくしてCPU負荷を軽減
3. スリープ状態の活用
• 静止しているリジッドボディは自動的にスリープ状態になる
• スリープ状態のオブジェクトは物理演算の計算から除外される
4. レイヤーベースの衝突マトリックスの使用
• Project Settings > Physicsで設定
• 不要な衝突チェックを省略し、パフォーマンスを向上
5. 連続衝突検出(CCD)の適切な使用
• 高速で移動するオブジェクトにのみCCDを有効化
• CCDはCPU負荷が高いため、必要最小限の使用にとどめる
6. 物理マテリアルの最適化
• 摩擦係数や反発係数を適切に設定
• 過度に高い値は計算負荷を増大させる可能性がある
7. キネマティックリジッドボディの活用
• 物理演算の影響を受けないが、他のオブジェクトと衝突する必要があるオブジェクトに使用
意外な情報として、Unity 2020.1以降では、物理演算のマルチスレッド処理が大幅に改善されました。これにより、複数のCPUコアを効率的に活用できるようになり、特に多数のリジッドボディを含むシーンでパフォーマンスが向上しています。
物理演算のパフォーマンス最適化について、より詳細な情報は以下のリンクで確認できます。
Unity物理演算は、ゲーム開発において非常に強力なツールです。基本的な概念を理解し、適切に使用することで、リアルな物理挙動を持つ魅力的なゲームを作成できます。同時に、パフォーマンス最適化にも注意を払うことで、スムーズで快適なゲームプレイ体験を提供することができます。
物理演算の活用は、単にオブジェクトを動かすだけでなく、ゲームメカニクスの核心部分を形成することもあります。例えば、物理パズルゲームや、リアルな車両シミュレーションなど、物理演算を中心に据えたゲームジャンルも存在します。
また、Unity物理演算は常に進化しており、新しいバージョンではパフォーマンスや機能が改善されています。開発者は、Unity公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを定期的にチェックし、最新の情報や最適なプラクティスを把握しておくことが重要です。
最後に、物理演算の使用は、ゲームの「感触」に大きな影響を与えます。プレイヤーの操作に対する反応や、環境とのインタラクションの自然さは、ゲームの没入感を左右する重要な要素です。したがって、物理パラメータの微調整には十分な時間をかけ、プレイテストを繰り返すことで、最適な設定を見つけ出すことが大切です。
Unity物理演算の可能性は無限大です。基本を押さえつつ、創造性を発揮して、独自の物理ベースのゲームメカニクスを生み出してみてください。それが、プレイヤーに新鮮で魅力的な体験を提供する鍵となるでしょう。
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