Unity HDRPを使用するには、適切な初期セットアップが不可欠です。以下に、HDRPプロジェクトを始める際の手順を詳しく説明します。
1. プロジェクトの作成
• Unity Hubを開き、新規プロジェクトを作成
• テンプレートから「3D (HDRP)」または「3D Sample Scene (HDRP)」を選択
2. HDRP Assetの確認
• Project設定でHDRP Assetが正しく設定されているか確認
• 必要に応じてHDRP Assetをカスタマイズ
3. Quality設定の調整
• Project Settings > Qualityで、HDRPに適した設定を選択
• 必要に応じてカスタム品質設定を作成
4. ライティング設定の初期化
• Lighting設定を開き、HDRPに適した設定を適用
• Global Illuminationの設定を確認し、必要に応じて調整
5. カメラの設定
• メインカメラにHD Additional Camera Dataコンポーネントを追加
• カメラのプロパティをHDRPに適した値に調整
HDRPの初期セットアップについて詳しく知りたい方は、以下の公式ドキュメントを参照してください。
Unity公式: HDRPの使用を開始する
HDRPでは、物理ベースのライティングモデルを採用しているため、従来のUnityとは異なるアプローチが必要です。以下に、HDRPでのライティング設定のコツをいくつか紹介します。
• 物理的に正確な光の単位を使用
- ルーメン、ルクス、カンデラなどの実際の光の単位を活用
- 現実世界の光源データを参考に設定を行う
• 間接光の重要性を理解する
- Global IlluminationやScreen Space Global Illuminationを活用
- リアルな光の反射や散乱を再現
• ボリュームライティングの活用
- フォグやヘイズを使って大気効果を表現
- ライトレイヤーを使って複雑な光の相互作用を制御
• 高度なシャドウ設定
- コンタクトシャドウやマイクロシャドウを使用して細部を表現
- レイトレースシャドウを活用してソフトシャドウを生成
• 露出制御の重要性
- カメラの露出設定を適切に調整
- Auto Exposureを活用してダイナミックな明るさ変化を表現
HDRPのライティング設定について詳しく知りたい方は、以下の記事が参考になります。
Unity公式: コンソールおよびPCゲーム向けHDRPを使い始める
HDRPのボリューム機能は、シーン全体の雰囲気や視覚効果を制御する強力なツールです。以下に、ボリューム機能の効果的な使い方を説明します。
1. ボリュームの基本概念
• グローバルボリューム:シーン全体に影響
• ローカルボリューム:特定の領域にのみ影響
2. ボリュームプロファイルの作成
• Project窓で右クリック > Create > Volume Profile
• 必要なコンポーネントを追加(例:Visual Environment, Sky, Fog)
3. ボリュームの配置
• Hierarchy窓で右クリック > Volume > Global Volume(またはBox Volume)
• 作成したプロファイルをVolume componentに割り当て
4. ブレンディングの活用
• 複数のボリュームを重ねて配置し、Blend Distanceを調整
• シームレスな環境変化を実現
5. オーバーライドの使用
• 特定の設定のみを上書きしたい場合はオーバーライドを活用
• 必要な項目のみチェックを入れて調整
ボリューム機能の詳細については、以下の動画が非常に参考になります。
HDRPのマテリアルは、従来のUnityよりも高度な表現が可能です。以下に、HDRPでのマテリアル設定のポイントをまとめます。
• シェーダーの選択
- Lit:標準的な物理ベースのシェーダー
- Layered Lit:複数のマテリアルレイヤーを組み合わせ可能
- Unlit:ライティングの影響を受けないシンプルな表現
• 物理ベースのパラメータ調整
- Metallic:金属度の調整(0=非金属、1=金属)
- Smoothness:表面の滑らかさ(0=マット、1=鏡面)
- Normal Map:微細な凹凸表現
• 高度な表面表現
- Subsurface Scattering:半透明な物質の表現
- Clear Coat:車のクリアコートなどの表現
- Anisotropy:方向性のある反射の表現
• エミッシブ設定
- Emission Color:発光色の設定
- Emission Intensity:発光強度の調整
- Use Emission Intensity:物理ベースの発光強度を使用
• テクスチャマッピング
- Detail Maps:微細なディテールを追加
- Mask Maps:複数のマップを1枚のテクスチャに統合
HDRPのマテリアル設定について詳しく知りたい方は、以下のドキュメントを参照してください。
Unity公式: HDRPのLitシェーダー
HDRPを活用して高品質な描画を実現するには、以下のような技術や機能を組み合わせることが重要です。
1. レイトレーシングの活用
• リアルタイムレイトレーシングによる正確な反射や屈折
• パストレーシングによる高品質なグローバルイルミネーション
2. スクリーンスペースエフェクト
• Screen Space Reflection (SSR):動的な反射表現
• Screen Space Ambient Occlusion (SSAO):環境光遮蔽効果
3. 高度なポストプロセス
• Bloom:明るい部分のにじみ効果
• Depth of Field:被写界深度の表現
• Motion Blur:動きのブラー効果
4. 物理ベースのカメラ
• 露出制御:HDRレンダリングを活かした露出調整
• Color Grading:映像的な色調整
5. 大気散乱シミュレーション
• Volumetric Fog:体積感のある霧の表現
• Volumetric Clouds:リアルな雲の表現
6. デカールシステム
• 環境に自然に溶け込むテクスチャの投影
• パフォーマンスを考慮した効率的なデカール表現
これらの機能を適切に組み合わせることで、フォトリアルな描画からスタイライズされた表現まで、幅広い視覚表現が可能になります。
HDRPの高度な描画機能について詳しく知りたい方は、以下のブログ記事が参考になります。
以上、Unity HDRPの基本と活用法について解説しました。HDRPは非常に強力なツールですが、その能力を最大限に引き出すには適切な設定と理解が必要です。本記事で紹介した内容を参考に、ぜひ素晴らしいビジュアル表現にチャレンジしてみてください。
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