Blender Pythonで3DCGを自動化する方法

 

Blender Pythonの基礎と活用法

Blender Pythonで3DCGを自動化する方法

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Pythonスクリプトの活用

 

Blender APIを使って3DCG制作を効率化

🔧

アドオン開発

 

カスタム機能を追加して作業を自動化

📚

ライブラリの活用

 

NumPyやSciPyを使って高度な計算を実現

 

Blenderは強力な3DCGソフトウェアですが、Pythonを活用することでさらにその可能性を広げることができます。Blender PythonはBlenderの機能を拡張し、3DCG制作プロセスを自動化するための強力なツールです。この記事では、Blender Pythonを使って3DCGを自動化する方法について詳しく解説していきます。

 

Blenderでのpythonスクリプト作成手順

 

Blenderでpythonスクリプトを作成するには、主に以下の手順を踏みます:

  1. スクリプトエディタを開く
  2. 新規スクリプトを作成
  3. Pythonコードを記述
  4. スクリプトを実行

 

Blenderには、Pythonスクリプトを直接実行できる「スクリプトエディタ」が組み込まれています。このエディタを使うことで、BlenderのUIを操作することなく、Pythonコードを直接実行できます。

 

スクリプトエディタでは、Blender APIを使用してオブジェクトの操作やシーンの制御が可能です。例えば、以下のようなコードで簡単な立方体を作成できます:

import bpy

 

bpy.ops.mesh.primitive_cube_add(size=2, location=(0, 0, 0))

 

このコードを実行すると、サイズ2の立方体が原点に生成されます。

 

Blender APIの詳細なドキュメントは以下のリンクで確認できます。APIの使い方や利用可能な関数について詳しく解説されています。

 

Blender Python API Documentation

 

Blender APIを使ったオブジェクト操作の基本

 

Blender APIを使うことで、3Dオブジェクトの生成、変形、削除など、様々な操作を自動化できます。以下に、よく使用される操作の例を示します:

  • オブジェクトの生成
bpy.ops.mesh.primitive_cube_add(size=2, location=(0, 0, 0))

  • オブジェクトの移動
bpy.data.objects["Cube"].location = (1, 2, 3)

  • オブジェクトの回転
import math

bpy.data.objects["Cube"].rotation_euler = (0, 0, math.radians(45))

  • オブジェクトのスケール変更
bpy.data.objects["Cube"].scale = (2, 2, 2)

 

これらの基本的な操作を組み合わせることで、複雑な3Dモデルの生成や、アニメーションの作成なども自動化できます。

 

Blenderのアドオン開発入門ガイド

 

Blenderのアドオンは、Pythonスクリプトを使って作成される拡張機能です。アドオンを開発することで、Blenderの機能を大幅に拡張し、作業効率を向上させることができます。

 

アドオン開発の基本的な流れは以下の通りです:

  1. アドオンのメタデータを定義
  2. 必要な関数やクラスを実装
  3. Blenderのパネルやメニューに機能を追加
  4. アドオンをパッケージ化してインストール

 

アドオンの基本的な構造は以下のようになります:

bl_info = {

"name": "My Addon",
"author": "Your Name",
"version": (1, 0),
"blender": (2, 80, 0),
"location": "View3D > Sidebar > My Addon",
"description": "Description of my addon",
"category": "3D View"
}

 

def register()
# アドオンの登録処理

 

def unregister()
# アドオンの登録解除処理

 

if __name__ == "__main__"
register()

 

アドオン開発の詳細なガイドラインは、Blenderの公式ドキュメントで確認できます。

 

Blender Addon Tutorial

 

Blenderで使える便利なpythonライブラリ

 

Blenderには、デフォルトでいくつかの便利なPythonライブラリがインストールされています。これらのライブラリを活用することで、より高度な3DCG制作の自動化が可能になります。

 

主な利用可能ライブラリ:

  • NumPy: 数値計算や配列操作に特化したライブラリ
  • SciPy: 科学技術計算のためのライブラリ(手動インストールが必要)
  • Pandas: データ分析や操作のためのライブラリ(手動インストールが必要)

 

これらのライブラリを使用することで、複雑な数学計算や大量のデータ処理を効率的に行うことができます。例えば、NumPyを使用して頂点座標の計算を行ったり、SciPyを使用して複雑な形状の生成を行ったりすることが可能です。

import numpy as np

import bpy

 

# NumPyを使用して頂点座標を生成
vertices = np.random.rand(100, 3) * 2 - 1

 

# 頂点からメッシュを作成
mesh = bpy.data.meshes.new(name="Random Points")
mesh.from_pydata(vertices.tolist(), [], [])

 

# オブジェクトを作成してシーンに追加
obj = bpy.data.objects.new("Random Points", mesh)
bpy.context.collection.objects.link(obj)

 

このコードは、NumPyを使用してランダムな3D座標を生成し、それらの点からメッシュを作成してBlenderのシーンに追加します。

 

追加のライブラリをインストールする方法については、以下のリンクで詳しく解説されています。

 

Blender Pythonに機械学習系のライブラリをインストールする方法

 

Blenderのpythonコンソールを活用したデバッグ方法

 

Blenderには組み込みのPythonコンソールがあり、これを使用してスクリプトのデバッグや対話的な開発を行うことができます。Pythonコンソールは、スクリプトの動作を確認したり、Blender APIの使い方を試したりするのに非常に便利です。

 

Pythonコンソールの主な活用方法:

  1. オブジェクトのプロパティを確認
>>> bpy.data.objects["Cube"].location

Vector((0.0, 0.0, 0.0))

  1. コマンドの実行結果を確認
>>> bpy.ops.mesh.primitive_cube_add()

{'FINISHED'}

  1. APIの使い方を試す
>>> dir(bpy.data.objects["Cube"])

['__doc__', '__module__', ..., 'rotation_euler', 'scale', ...]

  1. 変数の値を確認
>>> x = 10

>>> print(x)
10

 

Pythonコンソールを効果的に使用することで、スクリプトの開発速度を向上させ、エラーの早期発見と修正が可能になります。

 

以上、Blender Pythonを使って3DCGを自動化する方法について解説しました。Pythonスクリプトの作成、Blender APIの活用、アドオン開発、ライブラリの利用、そしてデバッグ方法を理解することで、Blenderでの3DCG制作をより効率的に行うことができます。これらの技術を組み合わせることで、複雑な3Dモデルの生成やアニメーションの作成、さらには独自のツールの開発まで、幅広い自動化が可能になります。

 

Blender Pythonの世界は非常に奥が深く、ここで紹介した内容はその一部に過ぎません。さらに深く学びたい方は、Blenderの公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを活用することをおすすめします。継続的な学習と実践を通じて、Blender Pythonのスキルを磨いていくことで、より創造的で効率的な3DCG制作が可能になるでしょう。