Blenderは強力な3DCGソフトウェアですが、Pythonを活用することでさらにその可能性を広げることができます。Blender PythonはBlenderの機能を拡張し、3DCG制作プロセスを自動化するための強力なツールです。この記事では、Blender Pythonを使って3DCGを自動化する方法について詳しく解説していきます。
Blenderでpythonスクリプトを作成するには、主に以下の手順を踏みます:
Blenderには、Pythonスクリプトを直接実行できる「スクリプトエディタ」が組み込まれています。このエディタを使うことで、BlenderのUIを操作することなく、Pythonコードを直接実行できます。
スクリプトエディタでは、Blender APIを使用してオブジェクトの操作やシーンの制御が可能です。例えば、以下のようなコードで簡単な立方体を作成できます:
import bpy
bpy.ops.mesh.primitive_cube_add(size=2, location=(0, 0, 0))
このコードを実行すると、サイズ2の立方体が原点に生成されます。
Blender APIの詳細なドキュメントは以下のリンクで確認できます。APIの使い方や利用可能な関数について詳しく解説されています。
Blender Python API Documentation
Blender APIを使うことで、3Dオブジェクトの生成、変形、削除など、様々な操作を自動化できます。以下に、よく使用される操作の例を示します:
bpy.ops.mesh.primitive_cube_add(size=2, location=(0, 0, 0))
bpy.data.objects["Cube"].location = (1, 2, 3)
import math
bpy.data.objects["Cube"].rotation_euler = (0, 0, math.radians(45))
bpy.data.objects["Cube"].scale = (2, 2, 2)
これらの基本的な操作を組み合わせることで、複雑な3Dモデルの生成や、アニメーションの作成なども自動化できます。
Blenderのアドオンは、Pythonスクリプトを使って作成される拡張機能です。アドオンを開発することで、Blenderの機能を大幅に拡張し、作業効率を向上させることができます。
アドオン開発の基本的な流れは以下の通りです:
アドオンの基本的な構造は以下のようになります:
bl_info = {
"name": "My Addon",
"author": "Your Name",
"version": (1, 0),
"blender": (2, 80, 0),
"location": "View3D > Sidebar > My Addon",
"description": "Description of my addon",
"category": "3D View"
}
def register()
# アドオンの登録処理
def unregister()
# アドオンの登録解除処理
if __name__ == "__main__"
register()
アドオン開発の詳細なガイドラインは、Blenderの公式ドキュメントで確認できます。
Blenderには、デフォルトでいくつかの便利なPythonライブラリがインストールされています。これらのライブラリを活用することで、より高度な3DCG制作の自動化が可能になります。
主な利用可能ライブラリ:
これらのライブラリを使用することで、複雑な数学計算や大量のデータ処理を効率的に行うことができます。例えば、NumPyを使用して頂点座標の計算を行ったり、SciPyを使用して複雑な形状の生成を行ったりすることが可能です。
import numpy as np
import bpy
# NumPyを使用して頂点座標を生成
vertices = np.random.rand(100, 3) * 2 - 1
# 頂点からメッシュを作成
mesh = bpy.data.meshes.new(name="Random Points")
mesh.from_pydata(vertices.tolist(), [], [])
# オブジェクトを作成してシーンに追加
obj = bpy.data.objects.new("Random Points", mesh)
bpy.context.collection.objects.link(obj)
このコードは、NumPyを使用してランダムな3D座標を生成し、それらの点からメッシュを作成してBlenderのシーンに追加します。
追加のライブラリをインストールする方法については、以下のリンクで詳しく解説されています。
Blender Pythonに機械学習系のライブラリをインストールする方法
Blenderには組み込みのPythonコンソールがあり、これを使用してスクリプトのデバッグや対話的な開発を行うことができます。Pythonコンソールは、スクリプトの動作を確認したり、Blender APIの使い方を試したりするのに非常に便利です。
Pythonコンソールの主な活用方法:
>>> bpy.data.objects["Cube"].location
Vector((0.0, 0.0, 0.0))
>>> bpy.ops.mesh.primitive_cube_add()
{'FINISHED'}
>>> dir(bpy.data.objects["Cube"])
['__doc__', '__module__', ..., 'rotation_euler', 'scale', ...]
>>> x = 10
>>> print(x)
10
Pythonコンソールを効果的に使用することで、スクリプトの開発速度を向上させ、エラーの早期発見と修正が可能になります。
以上、Blender Pythonを使って3DCGを自動化する方法について解説しました。Pythonスクリプトの作成、Blender APIの活用、アドオン開発、ライブラリの利用、そしてデバッグ方法を理解することで、Blenderでの3DCG制作をより効率的に行うことができます。これらの技術を組み合わせることで、複雑な3Dモデルの生成やアニメーションの作成、さらには独自のツールの開発まで、幅広い自動化が可能になります。
Blender Pythonの世界は非常に奥が深く、ここで紹介した内容はその一部に過ぎません。さらに深く学びたい方は、Blenderの公式ドキュメントやコミュニティフォーラムを活用することをおすすめします。継続的な学習と実践を通じて、Blender Pythonのスキルを磨いていくことで、より創造的で効率的な3DCG制作が可能になるでしょう。
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