ZBrushは3DCGモデリングソフトの中でも特に直感的な操作性で知られています。粘土をこねるような感覚でモデリングができるため、3DCG初心者でも比較的取り組みやすいソフトウェアです。しかし、その多機能さゆえに最初は戸惑う方も多いでしょう。ここでは、ZBrushの基本的な使い方について解説していきます。
ZBrushを起動すると、最初に目にするのが独特のインターフェースです。画面上部にはメインメニュー、右側にはサブパレット、左側にはツールパレットがあります。これらを使いこなすことがZBrushマスターへの第一歩となります。
• メインメニュー:ファイル操作や設定変更など、全体的な操作を行います。
• サブパレット:現在選択しているツールの詳細設定を行います。
• ツールパレット:ブラシやスムーズツールなど、実際にモデリングで使用するツールを選択します。
初めてZBrushを使う方は、まずこれらの基本的なレイアウトに慣れることが重要です。
ZBrushの核心とも言えるのが、多彩なブラシツールです。標準で100種類以上のブラシが用意されており、それぞれが異なる効果を持っています。
主要なブラシツールには以下のようなものがあります:
これらのブラシを使いこなすことで、思い通りの形状を作り出すことができます。ブラシの強度や大きさは、画面左上のスライダーで調整可能です。
ZBrushの特徴的な機能の一つが「ダイナメッシュ」です。この機能を使うと、モデルの形状を変更しても自動的にポリゴンの密度を調整してくれます。
ダイナメッシュの使い方:
これにより、モデルのポリゴン構造が再計算され、均一な密度になります。複雑な形状を作る際に非常に便利な機能です。
複雑なモデルを作成する際に重要になるのが「サブツール」機能です。これを使うことで、一つのプロジェクト内で複数のオブジェクトを個別に編集することができます。
サブツールの基本操作:
• 新規サブツールの追加:ツールパレットから「Subtool」を選択し、「Append」をクリック
• サブツールの選択:サブツールリストから編集したいオブジェクトを選択
• サブツールの結合:「Merge」ボタンで選択したサブツールを一つに統合
キャラクターモデリングなどで、体や服、アクセサリーを別々に作成する際に非常に便利です。
ZBrushを効率的に使いこなすためには、ショートカットキーの習得が欠かせません。頻繁に使用する機能をショートカットで呼び出すことで、作業速度が大幅に向上します。
主要なショートカットキー:
• Bキー:ブラシパレットの表示
• Sキー:サイズブラシの呼び出し
• Qキー:描画モードとエディットモードの切り替え
• Ctrl+Zキー:アンドゥ(操作の取り消し)
これらのショートカットを覚えることで、マウス操作を減らし、より直感的にモデリングを行うことができます。
ZBrushの使い方に慣れてくると、より高度な機能や技術を習得したくなるでしょう。そのような方には、以下のリソースがおすすめです。
ZBrushの公式チュートリアル(英語)
日本語で学べるZBrushテクニック
これらのリソースを活用することで、ZBrushの使い方をさらに深く理解し、より高度な3DCGモデリングスキルを身につけることができます。
ZBrushの基本的な使い方を理解したら、次はモデリングの基礎テクニックを学びましょう。ここでは、実際にモデルを作成する際に役立つテクニックを紹介します。
ZBrushでのモデリングは、基本的な形状から始めるのが効果的です。球体や立方体などのプリミティブ形状を組み合わせて、徐々に複雑な形状を作り上げていきます。
基本形状からの造形手順:
この方法を使えば、人体や動物、建築物など、様々なモデルの基礎を効率的に作ることができます。
基本形状ができたら、次はディテールを追加していきます。ZBrushには細かな造形を可能にする様々なツールが用意されています。
ディテール追加のためのツールと技法:
• Alpha:テクスチャを使って複雑な凹凸を一度に作成
• Mask:特定の領域を保護しながら細部を造形
• Layers:レイヤー機能を使って非破壊的に細部を追加
これらのツールを組み合わせることで、皮膚のきめや筋肉の隆起、衣服のしわなど、リアルな質感を表現することができます。
キャラクターモデリングでは、表情の作成が重要になります。ZBrushには表情を効果的に作るためのツールがあります。
表情作成のテクニック:
また、質感の表現も重要です。MetalやSkin Shaderなどのマテリアルを適用することで、様々な素材感を表現できます。
ZBrushの特徴的な機能の一つに「ポリペイント」があります。これを使うと、モデルに直接色を塗ることができ、テクスチャ作成が非常に直感的に行えます。
ポリペイントの基本手順:
この方法を使えば、UV展開を行わずにテクスチャを作成できるため、作業効率が大幅に向上します。
ZBrushは有機的なモデリングに強いイメージがありますが、ハードサーフェイス(機械や建築物など)のモデリングにも適しています。
ハードサーフェイスモデリングのポイント:
• ZModelerブラシを活用して精密な形状を作る
• クリースレベルを調整して鋭いエッジを表現
• マスク機能を使って正確な形状を維持する
これらのテクニックを駆使することで、ZBrushでも精密な無機物のモデリングが可能になります。
ZBrushのモデリング技術をさらに深く学びたい方には、以下のYouTubeチャンネルがおすすめです。
FlippedNormals - ZBrushチュートリアル(英語)
このチャンネルでは、初心者から上級者まで幅広いレベルに対応したZBrushのテクニックを学ぶことができます。
また、日本語でZBrushのテクニックを学びたい方には、以下のTwitterアカウントがおすすめです。
ZBrush Japan 公式Twitter
このアカウントでは、ZBrushの最新情報やテクニックのヒントが日本語で発信されています。
以上、ZBrushの基本的な使い方からモデリングの基礎テクニックまで解説しました。これらの知識を基に、実際にモデリングを行いながら技術を磨いていくことが重要です。ZBrushは非常に奥深いソフトウェアですが